笠捨山・地蔵岳
2022年(令和4年)11月27日

メ モ
今年は長年懸案だった大峯奥駈道のうち北半分の”柳の渡し”から”太古の辻”までを日帰り山行でようやく繋ぐことが出来ました。一方、”太古の辻”から”熊野本宮”までの南奥駈道だが、今のところ地蔵岳(子守岳)までしか歩いていない。そこで今回はとりあえず南奥駈道の中間点付近にある笠捨山に行くことにしました。
今後のことを考えると出来れば笠捨山の先の地蔵岳方面まで行きたいが、冬至まであとひと月ほどとなった今は日照時間も短かく、また未知の山域なのであまり無理はできない。行けるところまで行き、正午を制限時間として引き返すことにしました。
ということで前日は早めの9時に布団に潜り込み、27日の早朝3時に起床、3時40分に自宅を出発しました。途中の上北山の道の駅で朝食を取り、少し休憩してから先に進む。
池原から国道425号に入り、曲がりくねった道を登って池神社の前を通り、下北山村の中心地を走り抜けて行く。冬季ゲートを過ぎると道は狭くなり少しスピードを落としたが国道だけのことはあって舗装はされており、離合も大きな問題はないようだった。途中で道路を補修工事中のところがあったが、日曜日は規制はなく(通過時は規制時間外でもあった)、目的地にはほぼ予定通りの午前6時40分に到着した。走行距離は約150kmだった。
今日は午前中は風が強そうだが好天気との予報の日曜日にもかかわらず駐車地には人も車も見られなかった。タイミングよく遠くの山からの日の出を眺めたあと仕度をして午前7時に出発しました。


行 程

駐車地

白谷トンネル登山口

       奥駈道出会←→行仙岳
            ↓     (第19靡)
行仙宿山小屋

笠捨山(第18靡)

地蔵岳

笠捨山

行仙宿山小屋

山彦補給路入口

駐車地

距離     : 14.7km
最大標高差: 547m
累積標高  :1,230m
    




 
天 候

晴れ

 (日本気象協会tenki.jp : 過去天気)

山行記録

自宅から橿原まで高速道を走り、その後国道169号に入って吉野川沿いを進んで行くと”柳の渡し”の傍を通る。
大峯奥駈道逆峯の出発点で、この夏にここから山上ヶ岳までを3日間の日帰りで歩いたことを思い出す。

家から3時間かかって午前6時40分に白谷トンネル近くの駐車予定地に到着した。
駐車地からの眺めはよく、大台ヶ原から南下する山々が見渡せる。
タイミングよく午前6時42分に日の出を迎えました。

天気は良いが空には雲が流れており、予報どおり上空は風が強そうだった。
後ろに見える山は大峰奥駈道上の転法輪岳や俱利伽羅岳と思われます。
午前7時ちょうどに駐車地を出発しました。


国道を白谷トンネルの方へ5分ほど行くと登山口。
ただし、この道はNTT専用道で関係者以外の通行は禁止と書かれている。
自己責任で利用させていただきます。

立派な階段が断続的に続きます。

途中にある大岩。大木が蛇のように巻きついている。
よく見ると岩から沢山の幼木が生えています。すごい生命力です。

登りやすい鋼製の階段に助けられて登ること40分ほどで展望が開けるところがありました。
正面に大峯奥駈道上の転法輪岳と思われる山が見えます。

木々の間に青空が見えてきました。奥駈道は近い。

 
午前8時5分に奥駈道に合流しました。

 
まずは行仙岳に行きます。

頂上直下にも階段がありました。
午前8時10分に行仙岳に到着。
NTTの無線中継所があります。

行仙岳。第19靡です。

山頂からの眺めはまずまずです。
北西方向に八人山。中央は南、その右に中、少し離れて奥。

北には釈迦ヶ岳や孔雀岳。
予報どおり雲に覆われています。昼頃には晴れて来るようです。

少し拡大。
雲に覆われた釈迦ヶ岳や孔雀岳の左手前には地蔵岳(子守岳)や涅槃岳。
手前右のピークは転法輪岳。左は俱利伽羅岳。俱利伽羅岳の後ろは涅槃岳?

南東方面です。

南の笠捨山。
木々の葉が落ちたこの時期ならではの眺めです。

午前8時25分に笠捨山に向かいます。
登山口への分岐を通過。

気持ちの良い奥駈道を歩いて行きます。
遠くに光る熊野灘。

目指す笠捨山の雄姿。

行仙宿に向かって下って行きます。

 
午前8時50分に行仙宿山小屋に到着。
中を覗くと無人でした。居心地のよさそうな宿です。

 
小屋の手前には行者堂があります。

祀られているのは役行者と思います。安全祈願をしておきました。
右に般若心経が置かれている。

 
5分ほど休んでから先に進みます。

途中にある”から池”。理源大師が大蛇を退治したところらしい。
(マウスポインターを画像に重ねると池の様子)

午前9時に送電塔を通過。

最低鞍部まで下ってきました。行仙岳から180mほど下って来たことになります。
ここは笠捨山と約300mの標高差がありますが、
途中のピークの登り返しなどを考えると400mほどの登りかな。

ここで右に上級者向けの逓信道が分かれます。笠捨山の巻き道でもあります。
このあたりから急に風が強くなってきました。ゴウゴウと鳴っています。

急坂を登って行きます。
先が見えるのであまり長い登りではなさそう。

一登りしたところには大きな桧が立っていました。
かなり年季が入っていそう。

桧の前に置かれた石碑。大峰八大金剛童子と彫られています。
ここで風を除けながらこれからの登りに備えてエネルギーを補給しました。

強風の中を登って行きます。

木々の葉っぱも散り果てて、日差しが一段と明るいこの時期ならではの尾根歩きです。

左手遠くに見えるのは大台ヶ原から南下する山並み。
だいぶ雲も切れて来たようです。風も少し弱まってきました。

午前10時10分にP1246。
ここから笠捨山の鞍部まで50mほどの下りとなります。

 
下る途中で笠捨山が大きく見えました。

 
左には光る熊野灘。

 
右には地蔵岳。
少なくともあそこまでは行きたいなあ。

鞍部へ下って行きます。

鞍部付近。
ここから150mの登りです。時刻は午前10時20分過ぎ。
予定より遅れているが、ぎりぎり地蔵岳までは行けそうです。

始めのうちは比較的緩い登りです。

振り返ると大峯奥駈道の山々。
遠くに釈迦ヶ岳と孔雀岳。雲も取れて晴れ上がりました。
その手前に転法輪岳や俱利伽羅岳、行仙岳。右手前はP1246。

山頂近くなると急登が続きます。もう少しです。

   
山頂の一角に到着。右の西峰に行きます。
左に行くと東峰ですが、立入禁止のようなロープが張ってあるので行くのは止めました。

午前10時45分に笠捨山に着きました。
この時刻なら地蔵岳までは制限時間ぎりぎりで行けそうなので、
ザクっとまわりを眺めてから出発することにします。

第18靡 笠捨山。
大峯の釈迦ヶ岳や大台ヶ原などから眺めていた山にようやく来ることが出来ました。

山頂からは北の展望が開けています。
大峯南部の山々や大台ヶ原が一望の下です。
手前には行仙岳からここまで辿って来た稜線も見えています。

孔雀岳、釈迦ヶ岳から手前の行仙岳まで続く大峯奥駈の山々。

大台ヶ原方面。
眼下に見えるのは池原貯水池。

 
南の方は未知の地域でよく分かりません。
 
午前10時55分に地蔵岳に向かいます。
鞍部の葛川辻までの標高差200mを下って行きます。

 
下ったところは逓信道(笠捨山巻き道)分岐点です。

分岐点から少しで、午前11時15分に葛川辻に着きました。
ここでも道が分かれます。

右に行くと地蔵岳。左に行くと上葛川へ。
もちろん右に行きます。

葛川辻から地蔵岳までの間には二つのピークがある。
まず始めのピークへ緩く登って行きます。

 
1200mほどのピークを越え、少し下って午前11時35分に送電塔に出ました。
ここからは地蔵岳がよく見えます。

見た目はこんもりとしたピークですが、
あの森の中には油断ならない道が・・・。

ここでも道が分かれます。
左は電源巡視路と書かれています。地蔵岳の巻き道のようですがかなり荒廃しているようです。
私は直進して地蔵岳へ。

 
二つ目のピークを越えて下って行くと前方に地蔵岳が迫ってきました。

 
やがて目の前に急坂が出現。いよいよ激登が始まります。

岩や木をつかみながら登って行きます。

 
ふと横を見ると”この上2分槍ヶ岳”と書かれた板がありました。

奥駈道を離れて、木の根を伝って登って行くと、
着いたところは山名板も何もない狭いピークでした。

 
槍ヶ岳から慎重に下って来ると鞍部に第17靡の槍ヶ岳の札が立っていました。
槍ヶ岳は一つの大きな岩のように見えます。

 
その岩の下部には槍ヶ岳と刻まれた石碑が置かれていました。

 
狭い鞍部から地蔵岳への激登が始まります。

 
次々と現れる鎖場を木の根を頼りにして登って行きます。
 
激登すること10分ほど、ようやく地蔵岳の山頂直下まで辿り着きました。
左に行けば地蔵尊ですが、まずは頂上を踏んでからです。

午前12時10分に地蔵岳に到着しました。
制限時間を少し過ぎましたが許容範囲とします。
山頂には明星ヶ岳や仏生嶽、釈迦ヶ岳などにあったものと同じような小さな仏さんが置かれていました。

玉置山方面への下り道の様子を見たあと、
山頂直下を回り込んでお地蔵さんのところまで来ました。

 
地蔵嶽本尊と刻まれています。
安全祈願をしてから午前12時20分に地蔵岳を出発しました。

 
下山途中に一ヶ所眺めの良いところがありました。
登る時は必死で余裕がなかったため気がつかなかったようです。
遠くに釈迦ヶ岳方面。左に八人山(南、中、奥など)が見えます。

 
下りは登る時以上に慎重に・・・。
岩の突起や木の根などの手がかり、足がかりが多いので助かります。

午前12時45分に送電塔まで戻ってきました。
ヤレヤレとホッと一息つきます。

ここでエネルギーの補給を兼ねて一休みします。

ここからは釈迦ヶ岳から続く大峯奥駈の山々がよく見えます。
手前には俱利伽羅岳、転法輪岳、行仙岳など。

午後1時10分に葛川辻まで戻ってきました。

逓信道分岐を過ぎると、いよいよ笠捨山への標高差200mの登り返しです。
焦らずにゆっくりと行くしかありません。

黙々と登って行きます。(一人なので当たり前ですが)

途中には、もうすぐ冬だというのに生き生きとした緑の葉の、
赤い実をつけたミヤマシキミが沢山見られました。

もう少しの頑張りです。

午後1時50分に笠捨山に戻ってきました。

再び来ることはないと思いますのでまわりを眺めながら少し休憩します。

北の孔雀岳、釈迦ヶ岳から手前の行仙岳までの山々。
主要な山を望遠で。

釈迦ヶ岳。
孔雀岳との鞍部の向こうに弥山や八経ヶ岳(山頂は僅かに)が見えています。
釈迦ヶ岳の手前には4年前に歩いた太古ノ辻から蘇獏岳、天狗山、地蔵岳(子守岳)など。

孔雀岳。
孔雀岳の稜線上に仏生嶽の山頂部が見えています。

大普賢岳。
手前のピークは転法輪岳。

最後に大台ヶ原を望遠で。

午後2時5分に笠捨山から下って行きます。

何度でも立ち止まって眺めてしまう大峯奥駈の山々。

鞍部からP1246へ登り返します。

ピーク近くから笠捨山を振り返る。

午後2時半にP1246を通過。

P1246を下って行きます。
影が長く、もう夕刻の雰囲気がしてきました。

午後3時に1150mほどの小ピークを通過。

小ピークを通過したあと、尾根が二つに分かれているのに気がつかず、
間違って送電塔のあるところまで来てしまった。

しかし、そこからは逆光で黒い影となった地蔵岳を見ることが出来ました。
何が幸いするか分かりません。

本来の道に戻って大桧を過ぎて逓信道分岐まで下ってきました。
あと行仙宿まで50mほどの登り返しがあるのみです。

鞍部から少し登って送電塔まで来ました。
向こうに見える送電塔が先ほど間違って行ったところです。
左の奥に笠捨山の山頂部が見えています。

送電塔から見た八人山方面の眺め。
中央の丸い頂きが南。その右が中、右端が奥と思われます。

午後3時半に行仙宿(佐田ノ辻)に戻ってきました。
ここから駐車地までは山彦補給路で1時間弱です。
帰着時間の見通しが立ちましたので10分ほど休憩しました。

行仙宿から緩く下って行くと送電塔があったので
その傍へ行くと大台ヶ原の展望が開けました。

さらに下って行くと伐採地に出て、ここでも大台ヶ原方面の展望が開けました。

ドンドン下って行くと分岐に出ました。左に行きます。

道は急な斜面につづら折りにつけられています。
踏み外さないように慎重に下って行きます。

補給路入口手前の水場です。

林道の上まで来ました。

補給路入口の階段。ここまで来れば安心です。
奥駈道の保全に尽力されている新宮山彦ぐるーぷの皆様に感謝です。
あとは1.2kmの林道歩き。

林道を歩いて行きます。

午後4時35分に無事駐車地に戻ってきました。
今日出会った人は、笠捨山と地蔵岳の間ですれ違った、花折塚から笠捨山をピストンする方一人だけでした。
おかげで晩秋の静かな山歩きを楽しむことが出来ました。
これで南奥駈道の核心部と言われる笠捨山から地蔵岳を歩き通すことが出来ました。
しかし地蔵岳の玉置山側の険峻な道はまだ残されている。これは今後の課題としておきます。
駐車地を午後4時50分に出発し、ほぼ往路を戻って帰宅は午後8時でした。


コースタイム
往 駐車地(7:00)-白谷トンネル登山口(7:05-7:10)-奥駈道出会(8:05)-行仙岳(8:10-8:25)-行仙宿(8:50-8:55)
  -逓信道分岐(9:05)-大杉(9:15-9:25)-P1246 (10:10)-笠捨山(10:45-10:55)-葛川辻(11:15)
  -巡視路分岐(11:35)-槍ヶ岳(11:55)-地蔵岳(12:10)
復 地蔵岳(12:20)-巡視路分岐(12:45-12:55)-葛川辻(13:10)-笠捨山(13:50-14:05)-P1246(14:30)
  -逓信道分岐(15:15)-行仙宿(15:30-15:40)-山彦補給路入口(16:15)-駐車地(16:35)

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